上昇木魂

 

泳ぐことが人生だった

泳ぐことが僕そのものだった

水中では僕はどこでも好きに行けた

 

しかし、ある時、突然に

 

いや、ある程度の予期はしていた

 

急流が僕を襲った

それに飲み込まれ溺れた

 

僕を覆っていた鱗は剥がれ落ち

裸になった

泳ぐことも難しくなった僕は

陸へ打ち上げられた

 

そこでは全てが新しかった

初めて見る不思議な景色、空気

 

全てが凍てつく強風も吹いていた

その中を自分の足で歩かなければならなかった

 

気付けば、遠く遠くへと広がる空に向かって叫んでいた

その声は何度も木魂して世界を駆け巡っていた