箱舟
題名:箱舟
画材:愛、氣、アクリル、メディウム、LEDテープ、段ボール
縦横:45cm x 70cm x 7cm
制作:2023年
物語 | 箱舟
星空のような無数の光。
それは世界中のアーティスト達の希望を表している。
本作は、実際に自分が経験した詐欺被害を元に制作された。
2023年9月頃、Context Art Galleryと名乗るイタリアのギャラリーから展示オファーが某SNSに届いた。
展示条件はとても良かったので、契約し、展示費用を支払った。
(€300 = 当時レート¥50,000程)
先方の指定する2作品を現地へ発送し、反応を待った。
しかし、それ以降は何も返事が返ってくることは無かった。
後から知ったが、そのギャラリストを名乗るイタリア人男性 Marco Antonio Patrizioは、国際的な詐欺師であった。
長年、警察にも捕まらずに、世界中のアーティストからアート作品とお金を現在進行形で同じ手口で盗み続けている(現:2024年8月)
作品もお金も機会も失った。そう思った。
しかし、なんと、その3ヶ月後、奇跡的に発送した2点の作品が私の家に帰還した。
イタリアの税関で止まったまま引き取り手が現れなかった為だった。
本作は、この件で実際に作品を運搬・梱包していた段ボールで制作されている。
この2点のアート作品にとって箱舟的な存在だったと言える。
本作が不特定多数の人にインターネットやSNSにて露出されていくことで、少しでもこのような詐欺の抑止力になることを祈っている。
詩 | 箱舟
人の夢は
奪えない
補足
国際アート詐欺師 Marco Antonio Patrizio が捕まらない理由。
国際アート詐欺師の Marco Antonio Patrizio が捕まらない理由は3つ程ある。
1.
Marco Antonio Patrizio氏在住のイタリアではなく、イタリア国外在住の人々を狙った犯罪であること。
2.
被害金額が1件あたり€300という絶妙な金額設定であることだ。
この状況は、イタリア在住ではない外国人からすると被害報告をするハードルは非常に高い。その上に仮に被害報告をしてもイタリア警察はこの金額では動くことはない。だから、大半のアーティストは泣き寝入り状態である。その人数と被害総額は本当に計り知れない。
3.
更にこの詐欺師の凄い巧妙な所は、たまに本当にギャラリー業もする所だ。
たまに本当にギャラリーとして展示活動も行うことがあるのだ。だから、アーティストは当然勘違いをする。やり取りも本物のギャラリーだし、展示実績も出している。本物の展示に参加したことのあるアーティスト達にDMで連絡を取って2重をチェックを試みてもやはり実在するギャラリーだと思ってしまう返事が返ってくるだけだ。
そんな背景を含めた上で今自分が世界中のアーティストに対して出来ることは「表現」だと思った。
本作はこれまでの自分の作風とは大きく異なるし、アグレッシブな内容なので賛否あるとは思う。
しかし、表現という形で本作を制作・発表することで少しでも誰かを守れるのならば幸いに思う。
アーティストという人々はこの世界において非常に貴重で重要な仕事であり存在だと思うからだ。
現在2024年12月
実際にこの作品やページによって「詐欺に遭わずに済んだ。ありがとう。」という感謝の連絡を世界中の何10人ものアーティスト達から受け続けている。