雑草
いくら抜いたって、
いくら切ったって、
いくら虫に食べられたって、
雑草は凄まじい生命力でグングンと伸びていく。
人は野菜を育てる為に雑草を抜いたり、切ったりした。それでもやっぱりすぐにドンドンと伸びてくる。人々は大変だなぁと思った。
偉い人達は言った。
「良い方法があるよ。毒を大地一面にいっぱい撒くんだ。そうしたら雑草は枯れて死ぬし、野菜を食べる虫も死ぬ。」
普通の人達は言った。
「偉い人達が言うなら間違いないね。でも、それだったら野菜も枯れて死んでしまうじゃないか?」
偉い人達は言った。
「大丈夫だよ。毒で死なない様に改造した偉い野菜があるからね。だから、この偉い野菜と毒を一緒に使えば大幅に効率が上がるんだよ。」
普通の人達
「なるほど。流石だね。偉い人が言うなら間違いないね。偉い野菜と毒の両方買うよ。楽しみだなぁ。」
流石の雑草も新しい毒攻撃には敵わない。
ぐわぁ。
偉い野菜以外の皆んなは枯れて消えていった。
普通の人達は言った。
「よしよし。」
普通の人達は毒のシャワーを沢山浴びて育った偉い植物達を食べた。
ありがとう、いただきます。
ムシャムシャ。
あれ?人の身体も同じ毒では死なない様に改造されているのかな?
偉い人達は言った。
「大丈夫だよ。」
次の年、雑草は復活したよ。ピョコピョコと小さな芽を出して、再び空を目指して伸びた。そうしたら、人々はまた毒を撒いて枯らした。同じ様に毒に耐えられる偉い野菜だけが生き残って、また人々のお腹を満たしてくれた。
ありがとう、いただきます。
ムシャムシャ。
あれ?そもそも偉い植物達って食べても大丈夫なんだよね?
偉い人達は言った。
「大丈夫だよ。」
次の年もその次の年も同じことが繰り返された。雑草と人の戦いはいつも人が勝った。人々は毒を浴びて育った偉い植物を食べ続けた。
時は流れて、
ある時から人々は酷く病んで苦しくなった。
その病氣は以前は存在しなかった。
何でだろう?何処から来たんだ?
流石の人も新しい病氣攻撃には敵わない。
ぐわぁ。
偉い人達以外、皆んなは病んで死んでいった。
偉い人達は言った。
「よしよし。」
時は流れて、
偉い人達も
誰も居なくなった頃。
大地をよく見ると、
小さな小さな雑草の芽が生え始めていた。
「ピョコピョコ。」