題名:ゆくえ
画材:愛、氣、アクリル、木板
縦横:51.5cm x 72.8cm
制作:2023年
ゆくえ
解説:cosmic rhythm series
木目は人間ではなく、
地球が生み出すライン。
もっと大きな意味で言うならば
宇宙のリズムであると考える。
そのリズムに沿って(尊重して)
描くことで宇宙一体的なワンネスを
表現することを目指した。
・・・
木目とは宇宙のリズムを
可視化したものであるという仮定の元、
木目を尊重し、木目に沿って、
木目から絵を展開させる形で制作する。
自然の力を借りながら、
自然の流れに従いながら表現する。
それは、自然との対話でもあり、
宇宙のリズムに乗る行為だと考えている。
このことで宇宙的な一体感を
表現・確立している。
詩:ゆくえ
極北でカリブーの耳を
撫でた風
長い長い旅をして
今、わたしを
そっと包む
物語:ゆくえ
風とカリブー(トナカイ)は
大昔からいつだって自由に
この世界を旅している。
かつてご縁でアラスカにて
現地に住むご家庭に長期滞在
させていただいたことがある。
その時に野生のカリブーの群れに遭遇した。
マイナス20度、極寒の風が吹き荒れる中、
彼らはバタバタと走ったり、
ボーッと立ち尽くしていた。
彼らの鼻から吐く息は空氣中に出た瞬間に
凍ってキラキラと光り輝いていた。
その姿に強靭な生命力を感じ、感動した。
そんな景色を遠く離れた日本でふと思い出す。
きっとそのカリブー達を包み、
撫でた風は、長い長い旅を続けて、
住む私達の所までやって来ることだって
あるだろうと思う。
忙しい日常の中でそのことを思うと
不思議な感覚に包まれる。
この世界は途方も無く広い。
けれど、
いつも全ては繋がっているという真実。
そして、逆に私達を包んだ風が
極北に暮らすカリブー達の元へと今も尚、
旅しているのかも知れない。
風は、
どこからどこへ旅しているのだろう。
あのカリブー達は、
どこからどこへ旅しているのだろう。
そのゆくえは、誰も知らない。